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ヴァンソーブルの赤ワインはGSM [ローヌ]

南部ローヌのヴァンソーブル(Vinsobres)は1967年に広域のAOCコート・デュ・ローヌ・ビラージュ(Cotes du Rhone Villages)の一部に組み込まれました。ビラージュは村という意味で、コート・デュ・ローヌ・ビラージュは多数の村で構成するAOCです。ヴァンソーブルが独立したAOCになったのは2006年2月です。

ヴァンソーブルは赤ワインのAOCです。ぶどう品種はグルナッシュ(Grenache)50%以上、シラー(Syrah)25%以上、補助品種としてムールヴェードル(Mourvedre)が使われます。これら3種類のぶどう品種による赤ワインは、フランス南部だけでなくオーストラリアなどでも造られています。3種のぶどう品種の頭文字をとってGSMと呼ばれたりします。

ムールヴェードルはタンニンの多く、色の濃いぶどうです。原産地はスペインです。ムールヴェードルの栽培に向く気候は、暑く乾燥する夏がある地中海性気候です。

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コート・デュ・ヴィヴァレのAOC発効は1999年 [ローヌ]

コート・デュ・ヴィヴァレ(Côtes du Vivarais)は少し前まで、ワインの生産地としてはほとんど知られていませんでした。1962年にVDQS(原産地名称上質指定ワイン)を取得、AOC(原産地統制呼称)に格上げされたのは1999年です。

赤、白、ロゼを造っていますが、全生産量の8割を赤が占めています。赤ワインの品種はグルナッシュ・ノワール(Grenache Noir)とシラー(Syrah)を主体に、補助的にカリニャン(Carignan)とサンソー(Cinsault)が使われています。

コート・デュ・ヴィヴァレもそうですが、フランスのワイン生産地にはコート(Côte、複数形はCôtes)やコトー(Coteau、複数形はCoteaux)が名前についているものがたくさんあります。コート(Côtes)もコトー(Coteau)も斜面うや丘を意味するフランス語です。コトーはコートよりも規模の小さい斜面または丘を指します。

古代ローマには「ワインの神バッカスは丘を好む」(Bacchus amat colles.)という言葉があったそうですが、フランスのワイン生産者も同じ考えのようです。

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AOC名を変更したグリニャン・レ・ザデマール [ローヌ]

グリニャン・レ・ザデマール(Grignan-Les Adhemar)は赤のほかに白とロゼもあるAOC(原産地統制呼称)です。以前はAOCよりも格下のVDQS(Vin Delimite de Qualite Superieure、原産地名称上質指定ワイン)でしたが、1973年にAOCを取得しました。

北部ローヌの気候は大陸性で、ぶどう畑はローヌ川に沿う東向きや南向きの斜面にあります。日当たりの良い斜面でないと、ぶどうが熟さないのです。一方、南部ローヌは地中海性気候で温暖なので、ぶどう畑は比較的平坦な場所に広がっています。

AOCグリニャン・レ・ザデマールは南部ローヌの北端に位置し、気候は大陸性気候と地中海性気候が入れ替わる場所になります。AOCは21の村を含み、ぶどう畑の面積は2800ヘクタールほどです。70弱のワイナリーで、多様なワインが造られています。

AOCグリニャン・レ・ザデマールは2010年以前はコトー・デュ・トリカスタン(Coteaux du Tricastin)というAOC名でした。ところが、2008年7月にトリカスタン原発(Centrale nucleaire du Tricastin)で大量のウラン溶液が誤って放出されるという事故が起こったことが原因で、2010年ヴィンテージからグリニャン・レ・ザデマールという新しいAOC名を採用しています。

AOCグリニャン・レ・ザデマールで造られるワインの約9割は赤です。ぶどう品種はグルナッシュ・ノワール(Grenache Noir)とシラー(Syrah)がメインで、補助的にサンソー(Cinsault)やムールヴェードル(Mourvedre)や カリニャン(Carignan)が使われます。

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18種類のぶどう品種を認めるAOCシャトーヌフ・デュ・パプ [ローヌ]

1870年代にアメリカ大陸から持ち込まれたフィロキセラという害虫によってフランス全土のぶどう畑が壊滅的な被害を受けた後、市場には水増ししたワインやラベルの記載とは異なる品質の劣るワインが出回りました。

こうしたワインを市場から追放することを目的に、シャトーヌフ・デュ・パプ(Chateauneuf-du-Pape)のワイナリー、シャトー・フォルティア(Chateau Fortia)のオーナーだったピエール・ル・ロワ(Pierre Le Roy)男爵は1923年に仲間とともにワイン造りに関するルールを策定しました。このルールはフランス・ワインを規定するAOCの原型になりました。

ワインに関するAOCを管理する組織としてINAO(Institut national de l'origine et de la qualité)が発足したのは、1935年です。ル・ロワ男爵らによるルール策定は、それよりも12年も前のことです。

AOCシャトーヌフ・デュ・パプで認められているブドウ品種は18種類もあります。ル・ロワ男爵らがルールを定めたとき、認められていたのは10種類でした。1936年にさらに3種類が追加されました。そして、2009年に5種類が追加され、現在は18種類になっています。

種類は18種類と多いのですが、栽培面積を見るとグルナッシュ・ノワール(Grenache Noir)、シラー(Syrah)、ムールヴェードル(Mourvèdre)の3種類で9割を占めています。

どうして、こんなに多種類のぶどう品種が認められるようになったのでしょうか? 最初の10種類はおそらく、当時のぶどう畑で栽培されていた品種をそのまま追認したのだと思われます。その後に種類が増えたのは、DNA鑑定などの技術が進んだ結果、従来は1つの種類と思われていた品種が実は2つの品種だったことによるようです。

AOCシャトーヌフ・デュ・パプのぶどう栽培面積は全体で約3200ヘクタール。ワイナリーの数は300を超えています。
 
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シャトーヌフ・デュ・パプはカストロ・ノヴォだった [ローヌ]

シャトーヌフ・デュ・パプ(Châteauneuf-du-Pape)というAOC(原産地統制呼称)には、シャトーヌフ・デュ・パプ、ベダリッド(Bedarrides)、クルテゾン(Courthezon)、ソルグ(Sorgues)という4つの村を含んでいます。

この地域のワインは昔は「アヴィニョンのワイン」(Vin d'Avignon)として知られていました。カストロ・ノヴォ(Castro Novo)という村がシャトーヌフ・デュ・パプと名前を改めたのは1893年のことです。1966年にAOCが認められたときに、村名はそのままAOC名に採用されています。「パプ」とは教皇です。シャトーヌフは「新しい城館」という意味です。シャトーヌフ・デュ・パプはフランス語で「教皇の新しい城館」という意味です。

シャトーヌフ・デュ・パプは、1954年にUFO(未確認飛行物体)飛行禁止条例を制定しています(条例は2007年に撤廃されました)。

シャトーヌフ・デュ・パプで主力になっているぶどう品種はグルナッシュ・ノワール(Grenache Noir)で、作付け面積の約7割を占めています。AOCのルールとしては、合計で18種類ものぶどう品種を使うことが許されています。

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シャトーヌフ・デュ・パプは教皇の新城館 [ローヌ]

西暦1000年ころから1300年ころまで西ヨーロッパ社会の封建制度が安定していたことを背景に、度重なる十字軍の遠征が行われました。十字軍の遠征は7回も行われましたが、カトリック教会に属する西ヨーロッパ諸国による聖地エルサレムの奪還はなりませんでした。相次いだ遠征の失敗はローマ教皇と各国の王との力関係に変化を生みました。教皇の権威が弱まり、遠征を仕切った王の権威が強まったのです。

13世紀末に教皇の地位に就いたボニファティウス8世(Bonifatius Ⅷ)は、各国の王は教皇に服従すべきであると宣言しました。教皇を最高権力者と考えるボニファティウス8世は、王権の拡大を図っていたフランス国王フィリップ4世(Philoppe Ⅳ)と衝突します。フィリップ4世はイタリアのアナーニという町でボニファティウス8世を捕らえてしまいます。

その後、財政的基盤も強化したフィリップ4世は、1309年に教皇庁をローマから南部ローヌのアヴィニョン(Avignon)に移し、教皇はフランス国王の監視下に置かれるようになりました。1377年に教皇はローマに戻りましたが、アヴィニョンにも別の教皇が立ち、教会大分裂という事態に陥りました。

アヴィニョンの北部にある村、シャトーヌフ・デュ・パプ(Châteauneuf-du-Pape)は直訳すると「教皇の新しい城館」という意味です。シャトーヌフ・デュ・パプはAOC(原産地統制呼称)の名前にもなっています。

教皇庁がアヴィニョンに移されて2代目の教皇だったヨハネス22世(John XXII)は、第2の住居としてシャトーヌフに要塞を建設、近辺にぶどう畑を開墾したと伝えられています。
 
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マルサンヌとルーサンヌで造るムスー [ローヌ]

サン・ペレイ(Saint-Peray)の名が付くAOC(原産地統制呼称)は2つ存在します。サン・ペレイAOC(Saint-Peray AOC)とサン・ペレイ・ムスーAOC(Saint-Peray Mousseux AOC)です。前者は泡のない白ワインのAOC、後者はムスーすなわちスパークリング・ワインのAOCです。量の多いのはサン・ペレイ・ムスーAOCで、サン・ペレイで造るワインの8割を占めています。

サン・ペレイはローヌ地方の中でも冷涼な地域で、スパークリング・ワインを造っています。安価なスパークリング・ワインにはタンク内で2次発酵を行う方式(シャルマ方式)によるものもありますが、サン・ペレイ・ムスーAOCはトラディショナル方式すなわちボトル内で2次発酵を行うルールです。

サン・ペレイのぶどう品種はマルサンヌ(Marsanne)とルーサンヌ(Roussanne)です。この2つの白ぶどうは、どちらも語尾に「サンヌ」が付いていて、しかも北部ローヌの各AOCで双子の兄弟のように栽培されています。

マルサンヌは比較的きちんとした収穫が期待できる白ぶどうです。ルーサンヌはうどんこ病にかかりやすいなど、栽培のやや難しい品種ですが、マルサンヌよりも強い香りや酸味を持っています。このため、マルサンヌとルーサンヌは互いの長所を生かす形で一緒に醸造されます。

サン・ペレイのぶどう栽培面積は60ヘクタールほどしかありません。マルサンヌとルーサンヌの栽培面積はサン・ペレイ9対1でマルサンヌが圧倒しています。フランス全土では2000年のデータによるとマルサンヌが1200ヘクタール、ルーサンヌが760ヘクタールです。ちなみに、白ぶどうのメジャー的存在のシャルドネは3万6300ヘクタールです。

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シラー100%がAOCルールのコルナス [ローヌ]

エルミタージュやサン・ジョゼフでは専らシラー100%の赤ワインが造られてるものの、AOC(原産地統制呼称)の規則としてはシラーをメインに白ぶどうを混ぜて造ることを許しています。

コルナス(Cornas)はルールとしてシラー100%の赤ワインのみを認めているAOCです。コルナスのぶどう畑の面積は全体でも125ヘクタールしかありません。さほど広いAOCではありませんが、作られているワインは造り手によって性格が違います。

伝統的な手法の造り手の代表格はドメーヌ・オーギュスト・クラープ(Domaine Auguste Clape)だと言われます。茎のついたままのぶどうの実を自然酵母を使って発酵させ、古樽の中で長期熟成させる造りかたです。

一方、革新派の代表格とされるのは、1980年代初期に醸造コンサルタントとしてスタートしたジャン・リュック・コロンボ(Jean-Luc Colombo)が経営するドメーヌとネゴシアンです。完全に除梗(茎を除くこと)し、すべて新樽を使って熟成しています。

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シラーによる赤ワインのサン・ジョゼフ [ローヌ]

サン・ジョゼフ(Saint-Joseph)はローヌ川の右岸に広がるAOC(原産地統制呼称)です。AOCが成立した1956年6月、このAOCに含まれる村は6つ、ぶどうの栽培面積は90ヘクタールでした。

1970年代と80年代にサン・ジョゼフはぶどうの栽培面積を大きく広げ、ワインの質を低下させてしまいました。この反省から、90年代に入り、AOCとしての作付け面積は縮小されました。現在の作付け面積は900ヘクタールほどです。

サン・ジョゼフで造られているワインは赤ワインが9割、白ワインが1割です。赤ワインはAOCのルールではシラー(Syrah)に10%までマルサンヌ(Marsanne)とルーサンヌ(Roussanne)という白ぶどうを混ぜることができますが、実際にはほとんどの赤ワインはシラー100%で造られています。

昔のことですが、この地域にあるぶどう畑の一つをイエズス会が保有しており、その畑にはサン・ジョゼフ(Saint-Joseph)すなわち聖母マリアの夫、「聖ヨゼフ」という名前が付けられていました。サン・ジョゼフというAOCの名前は、このぶどう畑の名前に由来します。

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コンドリューはヴィオニエの原産地 [ローヌ]

コンドリュー(Condrieu)はヴィオニエ(Viognier)による白ワインのAOC(原産地統制呼称)です。このAOCにはコンドリューという名の村のほか、6つの村を含んでいます。

AOCコンドリューもローヌ地方の多くのAOCと同じく、ワイン造りが成長したのは1970年代以降です。60年代までヴィオニエの作付け面積はわずか10ヘクタールほどでした。作付け面積は80年代に増加に転じ、90年代以降に急増しました。現在は130ヘクタールほどに達しています。

コート・ロティ(Cote-Rotie)の名声を高めるのに貢献したマルセル・ギガル(Marcel Guigal)はコンドリューでも大きな役割を果たしました。ネゴシアンとしてのギガルはコンドリューの農家からぶどうを買い集めてワインを造っています。

ヴィオニエという品種の白ぶどうはコンドリューが原産地です。花は咲いても結実しなかったり、うどんこ病にかかりやすかったり、収穫時期を的確に選ばないと香りの乏しいワインになってしまったりするため、栽培の難しい品種とされています。かつては北部ローヌで広く栽培されていましたが、フランスのぶどう畑がフィロキセラという害虫によって壊滅的な被害を受けた1800年代半ば以降、収穫量を確保しにくいヴィオニエの作付け面積は激減しました。

1980年代にローヌの赤ワインが人気を得たことを背景に、ヴィオニエも注目されるようになりました。作付け面積は北部ローヌだけでなく、フランス南部のラングドック(Languedoc)でも1990年代に急増しました。また、カリフォルニアやオーストラリアにも持ち込まれています。

ヴィオニエの2000年の作付け面積はフランス全体では2360ヘクタールに達しています。このうちAOCワインになっているヴィオニエはごくわずかで、ほとんどはAOCワインよりも格下のヴァン・ド・ペイ(Vin de pays)つまり安価な地酒に造られています。

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コンドリューに囲まれるシャトー・グリエ [ローヌ]

AOCシャトー・グリエ(Chateau-Grillet )はAOCコンドリュー(Condrieu)に囲まれています。ぶどう畑はわずか3.8ヘクタールの広さしかありません。コンドリューの中で特に優れた畑を一つのAOCとして独立させているように見えます。

シャトー・グリエはヴィオニエによる白ワインのAOCです。このAOCでワインを造っているワイン生産者は1社しかありません。AOCと同じ名前のシャトー・グリエというワイナリーです。

ぶどう畑が1社によって占有されているAOCはほかにもあります。ヴォーヌ・ロマネ村の6つのグランクリュはそれぞれがAOCになっていますが、そのうち4つはモノポール(monopole)すなわち1社のオーナーが占有する畑です(http://wine001.blog.so-net.ne.jp/2012-12-05)。

シャトー・グリエで造られる白ワインが、一般的な750mlのボトルを使うようになったのは1988年からです。それ以前は700mlのボトルを使っていました。ボトルのラベルには「Neyret-Gachet」(ネイエ・ガシェ)というワイナリーのオーナー家の名前が記載されています。ネイエ・ガシェ家は1830年からこのワイナリーを所有していました。

シャトー・グリエは2011年にフランソワ・ピノー(Francois Pinault)氏によって買収されています。フランソワ・ピノー氏はボルドー・メドック地区ののシャトー・ラトゥール(Chateau Latour)のオーナーです(http://wine001.blog.so-net.ne.jp/2012-03-28

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エルミタージュは北部ローヌの代表格 [ローヌ]

北部ローヌのAOCエルミタージュ(Hermitage)はローヌ川の左岸にあります。ぶどう畑は丘の南斜面に広がっています。

エルミタージュは18世紀から優れたワインの産地として知られてきました。19世紀半ばまでボルドーの特級ワインにはエルミタージュのワインをブレンドするものもあったほどです。

エルミタージュはシラー(Syrah)を主体とする赤ワインとルーサンヌ(Roussanne)やマルサンヌ(Marsanne)による白ワインのAOCです。赤ワインはAOCの定めるルールではぶどうの品種はシラーを主体に白ぶどうのルーサンヌやマルサンヌを15%まで混ぜて造ることができます。しかし、エルミタージュの赤ワインといえば、シラー100%のワインが主流になっている印象があります。

エルミタージュではぶどうの当たり年にヴァン・ド・パイユ(Vin de Pille)という甘口ワインが造られます。収穫した白ぶどうを乾燥させた後に搾汁します。「ヴァン」はワイン、「パイユ」は藁(わら)です。ヴァン・ド・パイユという名前は、昔は藁の上でぶどうを乾燥させたことに由来しています。

ヴァン・ド・パイユはフランスではジュラ地方でも造られています。イタリアではレチョートという名前で同じようなワインが造られています(http://wine001.blog.so-net.ne.jp/2011-10-13)。

エルミタージュの周囲はAOCクローズ・エルミタージュ(Crozes-Hermitage)です。クローズ・エルミタージュのワインはエルミタージュのワインに比べ安価ですが、この数十年の間にワインの質を大幅に高めたと言われます。
 
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シラーとヴィオニエを混醸するコート・ロティ [ローヌ]

北部ローヌを高級ワイン生産地として印象づけているAOC(原産地統制呼称)の代表格は、エルミタージュ(Hermitage)とコート・ロティ(Cote-Rotie)です。

コート・ロティは「焼けた丘」という意味で、コート・デュ・ローヌの最北端に位置するAOCです。ローヌ川の右岸に広がる東向きの丘がぶどう畑になっています。

エルミタージュは古くからワインの名醸地として知られていましたが、コート・ロティが評価を高めたのは1970年代以降です。それ以前は地元で消費されるカジュアルなワインの産地として位置づけられていました。

1946年にネゴシアンとして創業したギガル(Guigal)社を2代目として引き継いだマルセル・ギガル(Marcel Guigal)は、ワインの品質を向上させつつ、ネゴシアンとしてもドメーヌとしてもギガルを発展させ、コート・ロティの評価を高めるのに貢献したと言われます。ギガル社はコート・ロティに3つのぶどう畑、ラ・ムーリンヌ(La Mouline)、ラ・ランドンヌ(La Landonne)、ラ・テュルク(La Turque)を持ち、これらの畑で栽培したぶどうだけを使ったワインも造っていま(http://wine001.blog.so-net.ne.jp/2011-08-24)。

コート・ロティは赤ワインのAOCです。赤ワインはシラー(Syrah)をメインに白ぶどうのヴィオニエ(Viognie)を20%まで混ぜることが許されています。「混ぜる」といっても赤ワインと白ワインを混ぜるのではなく、シラーとヴィオニエを一緒に醸造(混醸、co-fermentation)します。白ぶどうを混醸する赤ワインはちょっと珍しい存在ですが、ローヌの他のAOCでも行われています。

Marcel Guigalがワインの品質を高めた1970年代、アメリカのワイン評論家、ロバート・パーカーがシラーを使ったコート・ロティのワインに高い評点を与えたことで、シラーというぶどう品種も注目されるようになりました。

オーストラリアではシラーをシラーズ(Shiraz)と呼び、カベルネ・ソーヴィニヨンと混醸したワインを造っています(http://wine001.blog.so-net.ne.jp/2011-08-11)。コート・ロティのシラーとヴィオニエの混醸にヒントを得たと想像されます。

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気候もワインも違うローヌの北と南 [ローヌ]

スイスに源があるローヌ川はフランスの南部を北から南に流れています。ローヌ川を南(下流)から北(上流)にたどると、プロヴァンス、コート・デュ・ローヌ、ブルゴーニュとワインの生産地が分布しています。

コート・デュ・ローヌ(Cotes du Rhone)はAOC(原産地統制呼称)名です。主力は赤ワインですが、少量ながら白やロゼも造られています。

北部ローヌ(ローヌ・セプタントリオナル、Rhône Septentrional)と南部ローヌ(ローヌ・メリディオナル、Rhône Meridional)では気候もワインのスタイルも違います。北部ローヌは南部ローヌに比べぶどうの栽培面積が10分の1くらいしかありませんが、南部よりも高級なワインを造っている印象があります。

北部ローヌの気候は大陸性気候。栽培されている主なぶどう品種は黒ぶどうがシラー(Syrah)、白ぶどうがヴィオニエ(Viognier)、ルーサンヌ(Roussanne)、マルサンヌ(Marsanne)です。

南部ローヌの気候は地中海性気候です。南部では20種類以上のぶどうが栽培されています。主な品種は黒ぶどうがシラー、グルナッシュ(Grenache)、ムールヴェードル(Mourvedre)、白ぶどうはルーサンヌ、マルサンヌのほか、多数の補助品種が栽培されています。


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ミュズレが発明されたのは1844年 [シャンパーニュ]

シャンパーニュのコルク栓は針金のついた王冠でしっかりと押さえられています。この針金付きの王冠、ミュズレ(muselet)を発明したのはAdolphe Jaquesson(アドルフ・ジャクソン)という人です。1844年のことです。

Jaquesson(ジャクソン)は本拠地をDizy村に置く、1798年に創業したネゴシアンです。ミュズレを発明したアドルフは2代目ですが、アドルフの没後、ネゴシアンJaquessonの経営権はJaquesson家から離れています。

ミュズレはフランス語(muselet)です。これに相当する英語はmuzzleですが、muzzleというとスパークリング・ワインの栓よりも犬などの口輪を思い浮かべてしまいます。

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Brutは辛口シャンパーニュ [シャンパーニュ]

ボトル内で2次発酵が済み、澱抜きした後に加える「門出のリキュール」は、蔗糖をワインに溶いたものです。このときに加える蔗糖の量によってシャンパーニュの甘さが調整されます。

19世紀の初めころ、シャンパーニュは甘いものが好まれていました。シャンパーニュの生産量は19世紀に大きく伸びましたが、甘さに対する好みも甘口から辛口へと変化しました。

シャンパーニュのラベルには甘辛度が表示されています。今、最もポピュラーなのはBrut(ブリュット)だと思われます。Brutは「生の」という意味のフランス語で、辛口であることを意味しています。1リットル当たりの糖分が15g以下であることを表示しています。もともとはシャンパーニュに使われた用語ですが、スペインやイタリアなどのスパークリング・ワインでも甘辛度を表示する用語として使われています。

Brutよりも辛口で、糖度が1リットル当たり6g以下のものはExtra Brut、3g以下のものはBrut Natureと表示されます。また、ExtraとかNatureという単語の代わりにメーカーが独自に決めた用語を使っているケースもあります。

Brutよりやや甘いものはSec(セック)と表示されます。Secよりさらに甘いものはDoex(ドゥー)です。

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スポンッとデゴルジュマン [シャンパーニュ]

ルミアージュ(動瓶)によってボトルの口付近に集めた澱を抜く作業をデゴルジュマン(dégorgement)と言います。デゴルジュマンには「出血」という意味があります。

デゴルジュマンは次のように行います。まず、ボトルを倒立させた状態で、口の部分をマイナス20度以下の塩化カルシウム水溶液に浸します。すると、口の付近に集まった澱が凍ります。そこで、王冠を抜くと、スポンッと澱が飛び出します。デゴルジュマンは機械で行うのが普通ですが、手作業で行うケースもあります。

澱が抜けたことでボトルに少し隙間ができます。そこに蔗糖をワインに溶かしたリキュールを注ぎます。これをドザージュ(dosage、補酒)と言います。目減りした分を補いつつ、シャンパーニュの甘さを調整します。ドザージュは「投薬」という意味の味も素っ気もない言葉ですが、補うリキュールのことは「門出のリキュール」(Liqueur d'Expedition)などと呼びます。

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ルミアージュは澱抜きの準備運動 [シャンパーニュ]

ボトル内で澱(酵母の死骸)と一緒にシャンパーニュを熟成した後、澱をボトルから抜き出さなければなりません。そのためには、まずボトルを動かして澱をボトルの口付近に集めます。これをルミアージュ(remuage、動瓶)と言います。古典的なルミアージュの方法は、瓶口を下にして木製の台に配置しておき、ボトルを1本1本、毎日少しだけ回転させる方法です。
 
(この動瓶士はかなり勢いよく作業しています)

2次発酵のために砂糖と酵母をボトル内に添加するとき、同時に清澄剤も加えます。清澄剤は主にベントナイトという粘土が使われますが、スティル・ワインに使うものより重いものが使われます。ルミアージュによって澱をボトルの口付近に集めるには、清澄剤は重いと都合が良いからです。

現在では手作業によるルミアージュはほとんど見られなくなりました。ジャイロパレット(Gyropalette)という機械を使うのが普通です。手作業では数週間もかかる作業が、ジャイロパレットを使うと数日間で済んでしまいます。

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シャンパーニュはボトル内シュル・リー [シャンパーニュ]

ボトル内での2次発酵が済んだシャンパーニュは熟成に入ります。熟成期間はAOC(原産地統制呼称)のルールで決められています。ノン・ヴィンテージ・シャンパーニュでも15カ月以上の熟成が必要です。ヴィンテージ・シャンパーニュは3年間も熟成します。高級シャンパーニュはルールで定められた期間よりも長い期間をかけて熟成させます。

シャンパーニュがボトル内で熟成するとき、ボトルの中には澱(酵母の死骸)が入っています。澱は分解されて旨み成分になります。ロワール地方ナント地区には「シュル・リー」(Sur lie)とラベルに記載し、澱と一緒にワインを熟成させたことを訴えるワインが存在しますが、シャンパーニュはいわば“ボトル内シュル・リー”で熟成します。

熟成期間中にシャンパーニュは仮栓を通して二酸化炭素が少し漏れ、同時に酸素が入り込みゆっくりと酸化が進みます。熟成期間の長い高級シャンパーニュは、二酸化炭素の漏れた量も多くなり、内圧が下がっています。これをグラスに注ぐと内圧の高い(熟成期間が短く安価な)シャンパーニュよりも細かい気泡を発生します。この結果、シャンパーニュのお値段と発する気泡の細かさには相関関係があると言われます。

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砂糖と酵母を加えてボトルに詰める [シャンパーニュ]

シャンパーニュを造るには複数のヴァン・クレールをブレンドし、砂糖と酵母、清澄剤を加えてタンクの中で拡販し、ボトルに詰めます。ボトルはプラスチック製の栓と王冠によって密封します。ボトル内で2次発酵させるためのボトル詰め作業をティラージュ(tirage)と言います。

ボトルの中では加えられた砂糖を原料にして発酵が始まり、アルコールと二酸化炭素が発生します。ヴァン・クレールを造るときの発酵を1次発酵、ボトル内での発酵を2次発酵と言います。2次発酵中、ボトルは12度Cの環境の中で、水平の姿勢にして積み上げられます。2次発酵には通常、6~8週間かかります。

加える砂糖はビート(砂糖大根)やサトウキビから作ったものです。砂糖の量は昔から1リットル当たり24グラムという値が一般的とされています。これにより、アルコール度数が1.2~1.3度上昇し、ボトル内の二酸化炭素による圧力は約6気圧になります。


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赤と白のブレンドで造るロゼ・シャンパーニュ [シャンパーニュ]

ロゼ・ワインを造るには二つの方法があります。一つは、黒ぶどうの皮が果汁と接触する時間を短くする以外は赤ワインと同じように造る方法。もう一つは、黒ぶどうを使い、白ワインを造るのと同じように収穫後直ぐに圧搾して造る方法です。EUでは白ワインと赤ワインをブレンドしてロゼ・ワインにする方法は認められていません。

しかし、例外があります。シャンパーニュのロゼの多くは、白ワインに少量の赤ワインをブレンドして造ります。

シャンパーニュ地方は何でもブレンドします。ぶどう栽培の北限に近い緯度に位置するので、ブレンドはぶどうの出来具合によるリスクを分散する方法の一つになっているようです。白ワインに赤ワインをブレンドするという、ロゼ・シャンパーニュの造りかたはその延長線の上にあるのでしょうか。

ブレンドせずに造るシャンパーニュは特別な存在であるからか、それぞれに呼び方があります。ぶどう品種としてシャルドネ100%で造るシャンパーニュは、「ブラン・ド・ブラン」(blanc de blancs)、ピノ・ノワール100%で造るものは「ブラン・ド・ノワール」(blanc de noir)と呼ばれます。モノ・クリュ(mono cru)という言葉で、一つの村で収穫したぶどうだけを使っていることを売り物にするシャンパーニュもあります。

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アサンブラージュしてもしなくても [シャンパーニュ]

シャンパーニュを造るにはまず白ワインを造ります。この白ワインをヴァン・クレールと呼びます。ヴァン・クレールはぶどうを収穫した村、ぶどう品種、1番搾りと2番搾り、収穫した年によって分けて造られています。シャンパーニュはこれらのヴァン・クレールをブレンドして造ります。シャンパーニュの村の数は319、ぶどうの品種は主な品種だけで3つあります。さまざまなヴァン・クレールの組み合わせ方は、膨大な数になります。

ブレンドすることをフランス語ではアサンブラージュ(assemblage)と言います。混ぜることはフランス語ではメランジュ(melange)と言いますが、これは単に混合するという感じの言葉です。これに対し、アサンブラージュは立体的なものを組み立てるという意味の言葉です。アサンブラージュという言葉には、ブレンドするにしても何か奥深いものがありそうな印象があります。

アサンブラージュを行うのは醸造責任者です。英語で言えばワインメーカーですが、ここはフランス・シャンパーニュ地方ですから、醸造責任者のことはシェフ・ド・カーヴ(chef de cave)と言います。

普通のシャンパーニュは収穫年の違うヴァン・クレールをブレンディングして造るので、ノン・ヴィンテージつまりヴィンテージがありません。しかし、普通ではない造りをすることで希少価値が出るという発想もあります。そこで、収穫年の同じヴァン・クレールだけで造るヴィンテージ・シャンパーニュというものがあります。モエ・エ・シャンドン(Moët et Chandon)社が生産するシャンパーニュ「ドン・ペリニヨン」(Dom Pérignon)はヴィンテージ・シャンパーニュの代表格です。

クリュッグ(Krug)社が生産するシャンパーニュ「グランド・キュヴェ」(Grande Cuvée)は収穫年の異なるヴァン・クレールをブレンドしているのですが、「ノン・ヴィンテージ」ではなく、「マルチ・ヴィンテージ」と称しています。当たり年のヴァン・クレールだけをブレンドしていることを訴えているようです。

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ヴァン・クレールはシャンパーニュの原酒 [シャンパーニュ]

シャンパーニュを造るには最初に普通の白ワインを造ります。果汁の糖分が少ないと十分なアルコール度数に達しないので、シャプタリザシオン(Chaptalization)と称して果汁に糖分を加えます。ただし、アルコール度数が11%を超えてはいけないルールです。
発酵にはほとんどの醸造者がステンレスタンクを使います。発酵には約2週間かかります。発酵によって温度が上がりすぎると風味が損なわれるので、18~20度Cに温度を制御します。

アルコール発酵が済むと、次にマロラクティック発酵を行います。マロラクティック発酵は乳酸菌がリンゴ酸を乳酸に変える発酵です。これにより、リンゴ酸の強い酸味が消え、まろやかな味わいになります。マロラクティック発酵は18度Cほどの温度に保ち、4~6週間かかります。

マロラクティック発酵が済むと、発酵によって生じた澱(酵母の死骸など)を除く作業をします。これをスーティラージュ(soutirage、澱引き)と言います。スーティラージュの済んだワインはヴァン・クレール(van clair)と呼ばれます。「澄んだワイン」という意味です。

ヴァン・クレールは泡の立たないワインで、シャンパーニュの原酒になります。シャンパーニュはいろいろなヴァン・クレールをブレンドし、さらにボトルの中で2度目の発酵をさせて造ります。

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搾った果汁の固形物を除く [シャンパーニュ]

ぶどうを搾った果汁には野生の酵母も含まれているので、そのままでアルコール発酵を起こすことができます。しかし、搾ったままの果汁は自然酵母のほかに細菌、果梗の破片、微細な果肉などを含んでいるので、シャンパーニュを造るには、発酵の前にこれらを除去しておきます。

圧搾してタンクに入れた果汁には、まず亜硫酸塩を加えます。亜硫酸塩は果汁の酸化を防ぎ、細菌の繁殖を抑え、発酵時に出るアセトアルデヒドと結合して不快な香りを消す働きをします。

その後、微細な固形物を沈殿させ、澄んだ果汁のみを取り出します。重力で沈殿させるには12~24時間の時間がかかりますが、時間を短縮したい場合は遠心分離機を利用します。小さな固形物を大きな塊に成長させるためにベントナイト(bentonite)という粘土を加える場合もあります。

微細な固形物を沈殿させて上澄み果汁を取り出す工程をフランス語ではデブルバージュ(débourbage)と言います。泥(bourbe)を除くという意味です。英語では沈殿という意味のsettlingという言葉を使います。

澄んだ果汁が得られたら、次は酵母を加えて1回目の発酵を行います。

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シャンパーニュは房のまま軽く搾って造る [シャンパーニュ]

ぶどうの房を構成している軸の部分を果梗(かこう)と言いますが、シャンパーニュを造るには果梗に果実がついた房のままで圧搾します。これを全房圧搾(whole bunch press)と言います。通常のワインは、果梗を除いて圧搾する場合が多いようです。しかし、果梗はタンニンを多く含み、長期熟成型のワインでは果梗のついたまま破砕する場合もあります。

シャンパーニュ地方では伝統的に垂直バスケット型という手動の圧搾機を使っていました。メーカーの名にちなんでコカール(Coquard)プレスとも呼ばれています。この圧搾機が1度にプレスできる量は4000キログラムでした。そこでぶどう4000キログラムを1マール(Marc)と言います。ちなみに、フランスではぶどうの搾りかすから造った蒸留酒や搾りかすそのもののこともマールと言います。

シャンパーニュ地方で1991年まで行われていた伝統的な圧搾方法は3段階に行う方法でした。一番搾りをキュヴェ(Cuvee)、二番搾りをプルミエ・タイユ(premiere Taille)、三番搾りをドゥーズィエム・タイユ(deuxiemes Taille)と呼んでいました。

シャンパーニュ地方ではピエス(Piece)という205リットルの樽を使っていましたが、キュヴェはピエス10個分、プルミエ・タイユがピエス2個分、ドゥーズィエム・タイユはピエス1個分と決めていました。つまり、4000キログラムのぶどうから合計で2665リットルの果汁を搾っていました。

このルールは1990年に改められ、搾る果汁の容量は少しだけ少なくなりました。キュヴェの容量は変わりませんが、3番搾りを廃止し、2番搾りまでにしたのです。その代わり、タイユすなわち2番搾りの容量はピエスの容量とは関係なく、500リットルにしました。この結果、4000キログラムのぶどうから搾る果汁の容量は2550リットルになりました。

4000キログラムから2550リットルを搾るということは、ぶどう1キログラム当たり638ミリリットルです。ワイン一般について言うと、圧搾率はぶどう1キログラム当たり600~800ミリリットルです。シャンパーニュの圧搾はかなり軽めです。

シャンパーニュには白ぶどうだけでなく、ピノ・ノワールとムニエという黒ぶどうも使います。強く圧搾すると黒ぶどうの皮による色が出てしまいます。

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シャンパーニュのぶどう収穫は手摘み [シャンパーニュ]

シャンパーニュ地方では9月半ばに手摘みによってぶどうを収穫します。収穫日が近づくとCIVC(Comite Interprofessionnel du Vin de Champagne、シャンパーニュ地方ワイン生産同業委員会)がぶどうの色、重さ、糖度、酸度などを測定し、各村のぶどう品種ごとに収穫日を決めます。

シャンパーニュでは機械を使う収穫は許されていません。手摘みと機械収穫にはコスト面以外に、収穫したぶどうの品質の点でもいろんな議論があります。

機械収穫は房からぶどうの実が落ちてしまったり、腐った果実や葉や時には虫や小動物も取り込む欠点があります。一方で、最近のぶどう収穫機械は、未熟なぶどうを摘み取らないような工夫もなされており、摘み取り量の多さのみにこだわる作業者よりも質の高い収穫ができる場合もあると言われます。

さて、手摘みで収穫したぶどうは収穫用のかごから専用の容器に移され、速やかに圧搾所に搬送されます。搬送時間が長引くことのないように、約1900もの圧搾所がシャンパーニュの全域に分散されて配置されています。

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何でもブレンドするシャンパーニュ [シャンパーニュ]

シャンパーニュ(シャンパン)に使われている主なぶどうの品種はピノ・ノワール(Pinot Noir)、シャルドネ(Chardonnay)、ムニエ(Meunier)です。ほかに、プティ・メリエ(Petit Meslier)、アルバンヌ(Arbane)、ピノ・ブラン(Pinot Blanc)、ピノ・グリ(Pinot Gris)などの品種を使うこともできます。

AOCの名前がシャンパーニュという地方名であることからも推測できますが、シャンパーニュ地方全域のぶどうを混ぜて使うことができます。また、醸造の過程で収穫年の違うワインを混ぜることもできます。

ブルゴーニュ地方のワイン造りはぶどうの品種をブレンドすることはなく、さらにぶどうの収穫場所を地方→地区→村→畑と区切る範囲が狭くなるほど価値が高いとするのと対照的です。

ブルゴーニュの最北端にあるシャブリ地区よりもさらに北に位置するシャンパーニュ地方が、厳しい気候の中で安定したワイン造りを行うにはブレンドは避けられないことだったと思われます。

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シャンパーニュ地方のAOCは3つだけ [シャンパーニュ]

ボルドー地方、ブルゴーニュ地方、シャンパーニュ地方はフランスの3大ワイン生産地です。ぶどうの栽培面積はボルドー地方が約12万4000ヘクタール、ブルゴーニュ地方が約4万6000ヘクタール、シャンパーニュ地方は約3万4000ヘクタールです。ちなみに、フランス全体では約90万ヘクタールです。

AOC(原産地統制呼称)の数はボルドー地方が約50、ブルゴーニュ地方は100を超えます。ボルドー地方やブルゴーニュ地方には地方名、地区名、村名のAOCがたくさんあります。ブルゴーニュ地方には畑名のAOCもあります。

シャンパーニュ地方のAOCは次の3つだけです。

  シャンパーニュ(Champagne)
  コトー・シャンブノワ(Coteaux Champenois)
  ロゼ・デ・リセー(Rosé des Riceys)

AOCロゼ・デ・リセーに対応している生産地はリセー村です。ロゼワインのAOCです。AOCシャンパーニュとAOCコトー・シャンブノワに対応している生産地域はシャンパーニュ地方全域です。コトー・シャンブノワはロゼワインや白ワインもありますが、ほとんどは赤ワインです。

生産量で言えばシャンパーニュ地方のワインのほとんどを占めているのはシャンパーニュ(シャンパン)です。

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シャンパーニュ地方はスティル・ワインの産地だった [シャンパーニュ]

スパークリング・ワインに対抗して泡が出ないワインをはスティル・ワインと言います。スティル(still)は「静かな」というような意味です。

シャンパーニュ地方の村々では17世紀までスティル・ワインを造っていました。ところが気候の変化で、スティル・ワインの醸造が難しくなりました。

14世紀から19世紀半ばの間は小氷河期と呼ばれる時代で、地球上のいろんなところで気温が下がりました。17世紀半ばにはアルプスの氷河が谷筋に沿ってふもとの方まで広がりました。

気温の低下はシャンパーニュ地方におけるワインの醸造にも影響しました。秋にぶどうを収穫して樽の中で発酵させても、気温が低いために発酵が最後まで進まず、途中で停止してしまいます。発酵の停止したワインをボトルに詰めて冬を過ごします。すると、春になって気温が上がり、一時停止していた発酵が再び始まります。発酵によって発生した二酸化炭素の圧力でボトルはしばしば破裂しました。当時のボトルは強度が不十分でした。運よくボトルが破裂せずに残っても、当時は泡を発するワインは失敗作として扱われました。

ドン・ペリニヨン(Dom Perignon、1639~1715年)はベネディクト派の修道士でした。シャンパーニュ地方のオヴィレ村(Hautvillers)にある修道院でワイン造りの責任者を務めた人です。ドン・ペリニヨンはぶどうの樹の剪定や単位面積当たりの収量、ブレンディングなどを工夫し、スティル・ワインの質を高める努力をしました。ボトルに詰めたワインが春になって再び発酵することは、ドン・ペリニヨンにとって望ましくないことでした。

ドン・グロサール(Dom Grossard)はドン・ペリニヨンの後輩に当たる修道士です。オヴィレ村にあった修道院はフランス革命によって閉鎖されましたが、修道院でワイン造りを担当した最後の修道士がドン・グロサールです。ドン・グロサールは先輩のドン・ペリニヨンがボトル内での再発酵を自在にコントロールすることができたと、手紙などに書いています。ドン・ペリニヨンは再発酵の防止に努めたのですが、話が伝わる間に意図的に再発酵を起こし、シャンパンを造ったという話に変化したと思われます。

「ドン・ペリニヨン」をシャンパンのブランドして最初に登録したのはウージェーヌ・メルシエ(Eugene Mercier)氏です。モエ・シャンドン(Moet & Chandon)はこのブランドをメルシエ氏から譲渡され、1928年から使っています。

シャンパンの醸造は誰かが一人で発明したというよりは、いろんな技術が少しずつ進歩し、ドン・ペリニヨン修道士がワイン造りをしていた時代よりも、ずっと後になってから確立されていったと思われます。

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シャンパン・ムスー・カバ・スプマンテ・ゼクト・etc. [シャンパーニュ]

アルコール発酵は糖分をアルコールと二酸化炭素に変えます。シャンパンの泡はボトル内の発酵によってできた二酸化炭素です。二酸化炭素が閉じ込められたワインは栓を開けると泡を発するので、「発泡ワイン」と言います。でも、発泡ワインという言い方よりも、英語の「スパークリング・ワイン」の方が一般的です。

スパークリング・ワインはいたるところで造られています。フランスではスパークリング・ワインをヴァン・ムスー(Vin Mousseux)と言います。ワインを閉じ込めているボトル内の圧力によって、ムスー(Mousseux、5~6気圧)、クレマン(Cremant、3~3.5気圧)、ペティアン(Petillant、2気圧程度)と呼び名が違います。

イタリアではスパークリング・ワインをスプマンテ(Spumante)と呼びます。スペインのカタルーニャ地方ではカバ(Cava)というスパークリング・ワインを造っています。ドイツにはゼクト(Sekt)というスパークリング・ワインがあります。ちなみに、スペイン語にはヴァの音はないので、Cavaは「カヴァ」ではなく「カバ」です。もちろん、カリフォルニアやオーストラリアなど、ワインの新世界でもスパークリング・ワインは造られています。

スパークリング・ワインにはいろんな種類がありますが、どれも二酸化炭素の泡を発します。グラス内における泡の力学的挙動を考慮するというテーマだけで1冊の本が成り立ちます。ジェラール・リジェ=ベレール著『シャンパン 泡の科学』(白水社)がそうです。

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